生音依存症

生が良いの

2/13 NHK 交響楽団 第1830回 定期公演 Cプログラム

出演

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ヴァイオリン:ジャニーヌ・ヤンセン

プログラム

ブラームス/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
ニルセン/交響曲 第5番 作品50

会場

NHKホール

感想など

首席指揮者に就任したパーヴォ・ヤルヴィの下でのN響の演奏が非常に充実しているという話は聴いていたのだが、ようやく実演に聴きに行けた。ここのところ金欠気味なので E 席にした。3つプログラムがある中でこの公演を選んだのは、先月の新日フィル定期で初めて聴いたニールセンの第五交響曲が気に入ったため。ジャニーヌ・ヤンセンは好きな奏者だけれども、正直言って3階席で独奏ヴァイオリンがちゃんと聴こえることは期待していなかった。
しかしそんな低い期待(奏者でなくホールに対して)をジャニーヌ・ヤンセンのヴァイオリンは吹き飛ばしてくれた。無伴奏での pp からオーケストラと被さっての音まで、三階席までばっちり飛んできた。そのような技術と楽曲全体の構想の的確さがあって初めてもたらされる高揚感があった。
メインのニールセン五番は掛け値なしに素晴らしい演奏だった。この作品の特に第一楽章では平穏な音楽と不安を煽る音楽が同時に並行していくが、暴力的な打楽器と柔らかい音から軋む音まで大胆に振れる弦楽器セクションの活躍、くっきりと浮かぶ木管のソロが殊にその実現に貢献していた。一楽章終わりの著しい弱音もまた異様な空気を醸し出していて印象深かった。多様な楽想が絡み合いながら肯定的な音楽に向かう(おそらくは相剋の末の善なるものの勝利、とでも言うべきか)二楽章がまた素晴らしかった。コーダの、殊に金管の響きのノーブルだったこと。
晦渋な作品にも拘わらず会場には何度もブラボーの声が上がっていたが、それも納得というものだった。