生音依存症

生が良いの

2016/3/17 読売日本交響楽団 第556回定期演奏会

出演

指揮: ローター・ツァグロゼク

プログラム

ベンジャミン:ダンス・フィギュアズ <日本初演>
コダーイ組曲「ハーリ・ヤーノシュ」 作品15
ベートーヴェン交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」

会場

サントリーホール 大ホール

聴いた席

P席真ん中辺り

感想

行けなくなった知人からチケットを頂いて参戦。
一曲目はジョージ・ベンジャミン。この人の作り出す音響は確かに美しいのだけどどこか引っ掛かりがないんだよなあ……と思っていると開演に間に合わなかった。貰い物でこれは申し訳立たない。
気を取り直してコダーイのハーリ・ヤーノシュ。P席はやっぱり面白い。この曲みたいにパーカッションの編成が大きいと消されてしまう音も多いのだけれど。ツァグロゼク氏は非常に硬質な音楽作りで、この曲のスコアからラヴェルのように幻想的な響きを引き出していた。管楽器・打楽器セクションは大健闘であった。
後半の「英雄」はそれに比べるとアンサンブルが乱れが多くミスも多かった……けれどもこの荒れ方は悪くなかったと思う。ツァグロゼク氏の指揮は微に入り細にわたってニュアンスやリズムの変化を要求するもので、初めての客演で要求に応えきるのは難しそうだった。それに対して守りに入らなかったゆえの乱れだという風に聴こえた。完全に実現できなかったにせよ、細かなニュアンス作りの積み重ねの先に、このベートーヴェンの中でも屈指に複雑な交響曲の真の姿が見えたように思う。